2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520524
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
牧原 功 Gunma University, 国際教育・研究センター, 准教授 (20332562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
小野 正樹 筑波大学, 人文社会科学研究科, 講師 (10302340)
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Keywords | 言語学 / 日本語教育 / 語用論 / 配慮表現 / ポライトネス |
Research Abstract |
本年度は、テレビ番組を主な対象とし、インタビュー場面やバラエティー番組における会話など、シナリオによらない自然な会話と判断できるものを録画し、会話データを収集した。また、大学生の日常会話の録音を行い、生データの収集も実施した。これらを基礎資料として利用し、日本語の配慮表現(聞き手に対する対人配慮を表す表現)と考えられる表現形式の、実際の会話での出現例や、使用状況の分析を行った。上記作業と平行して、語用論、発話行為論と関連させ日本語の配慮表現の理論的な体系化を行う作業を進めた。 資料の分析から、日本語の配慮表現は、いわゆる敬語表現にとどまらず、数多くの文末表現に観察されることがわかった。また、文末表現に限らず、文中の副詞でも配慮表現的に用いられる用例が多数観察された。他にも「コーヒーでも如何ですか」の「でも」や、「ビールを3本くらい持ってきて」の「くらい」のような表現も配慮表現と見なすことができると考えられ、日本語の様々な文法カテゴリーに属する成分が配慮表現に関わる機能を有することが確認された。 配慮表現を実際の言語事象から考察すること、及び理論的な位置づけを行うことは、語用論の側面からの日本語研究を更に押し進めることにつながると思われる。平成21年度の本科研費研究の成果を元に研究代表者及び研究分担者で執筆した『コミュニケーションと配慮表現』(明治書院)は、今後日本語についての語用論的な本格的な考察を進めるにあたって、広く有効な知見を提示できたと考える。 また、日本語の配慮表現の諸相への考察を日本語教育に活かすという側面では、筑波大学における電子化日本語上級教材の作成において、その成果をフィードバックしている。
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Research Products
(1 results)