2011 Fiscal Year Annual Research Report
言語少数派生徒と日本人生徒の学び合いを活かした在籍級の授業モデル作りに向けて
Project/Area Number |
21520528
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
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Keywords | 日本語教育 / 年少者 / 教科学習支援 / 在籍級 / 入り込み支援 / 母語 |
Research Abstract |
本研究では、公立中学校における取り出し支援から在籍級の入り込み支援に至る一連の学習支援を対象とし、研究課題(1)~(4)の追究を通して、言語少数派生徒が在籍級の学習活動に参加するための手立てと課題を探ることを目的とする。 (1)母語を用いた取り出し支援において、支援者はどのような役割認識をもって支援を進めているか。 (2)母語を用いた取り出し支援に対し、学校教員の意識はどのように変容しているか。 (3)入り込み支援の中で、母語支援者はどのように子どもを支えているか。 (4)入り込み支援において、子どもはどのように在籍級授業の内容理解を進めているか。 分析の結果、課題(1)については、子どもの母語ができる日本人支援者は「子どもが母国で培ってきた既有知識を周囲に伝える」「母国の学校教育と日本の学校教育の違いから、誤解が生じていることを周囲に伝える」という役割意識を形成していることがわかった。課題(2)で、国際教室担当教員は、母語を活用した学習支援は生徒の読解力の伸長に効果があると考え、母語の異なる生徒同士のグループ学習を高く評価し、同時に教員自身も楽しみながら授業に取り組むようになっていた。また母語の活用は時間的制約がある中学校において効率的な支援方法であるという意識を生んでいた。課題(3)で、入り込み支援を行う母語支援者は、授業内容の理解、日本語の表記や表現の習得、学習ストラテジーの獲得を促すスキャフォールディングを用いていた。また、学習意欲を喚起したり、子どもと授業者の仲介を図るなど、主体的かつ創造的に子どもを支えていた。課題(4)で、対象生徒は入り込み支援者のサポートを受けながら、自分が本来持つ社会的、認知的、情意的ストラテジーを統合的に発揮し、能動的に教室活動に参加していることがわかった。なお、23年度末には3年間の取り組みの成果を報告書としてまとめた。
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