2011 Fiscal Year Annual Research Report
魏晋南北朝における地域意識と地域文化に関する総合的研究
Project/Area Number |
21520725
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
中村 圭爾 相愛大学, 人文学部, 教授 (00047383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室山 留美子 大阪市立大学, 文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (20514029)
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Keywords | 魏晋南北朝 / 地域意識 / 地域文化 / 地方志佚文 / 十六国墓 / 鎮墓獣 |
Research Abstract |
本研究の目的は、文献史料と考古学的資料の総合的分析から、中国魏晋南北朝における地域意識と地域文化の生成と発展を検証し、これを基準に、この時期の中国における具体的地域区分を明確にすることである。その具体的方法として、当時の地方志類の内容分析と、考古学的成果、とくに明器類にみられる地方差の分析を行うこととしている。 本年度は、研究代表者は(1)文献史料に関する研究実績として、(1)地方志佚文の収集・整理作業を重点的に実施した。この作業については、作業の工具として、従前の侠文書名を網羅したとみられる著作等を総合して一昨年公刊した『漢唐地理書書目対照表(稿)』を用いたが、本対照表にも未収録の書が『太平簑宇記』等に相当に存在することが判明し、結果的には当初の見込みと異なり、作業量が大幅に増加し、所期の目的の達成が不十分である。(2)同対照表所収の地理書の対象とする地域の分布を分析し、その偏在などから、地域性と地域意識の差を考察し、一定の結論を得た。 (2)考古学的資料を用いた研究としては、研究分担者が、地域的特徴が顕著と見られる関中地区の、とくに十六国墓をデータ化し、その内の関中十六国・北魏墓出土の鎮墓獣を後漢・西晋の鎮墓獣と比較してこの地域の地域文化の可視的な具体像を明確にした。この成果については、室山留美子編『出土資料からみた魏晋南北朝の地域文化に関する初歩的研究』(相愛大学人文学部)全66頁を印刷製本し、関係機関・関係研究者に配布した。 (3)現地訪問調査については、計画通り、上記関中地区の中心である西安、およびその周辺地域について実施し、出土遺物やこの時期に出現し始めた仏教の遺跡等を訪問し、一定の成果を収めた。
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