2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520740
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
根津 由喜夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50202247)
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Keywords | ビザンツ / 皇帝権 / 宗教と政治 |
Research Abstract |
本年度も、当初計画に基づき、引き続き11-12世紀においてビザンツ皇帝の霊性を称揚する装置に関して、とくに図像学資料を中心に分析、検討を加えた。具体的な考察の対象となったのは、コンスタンティノープル(現イスタンブール)のコーラ修道院内部のモザイクおよびフレスコなどであり、イスタンブール考古学博物館に収蔵された彫刻作品もあわせて調査を行った。そのため、夏期に欧州に出張し、上記の調査を行った。その際には、あわせて、12世紀に多くの教会施設が建立されたキプロスや、コムネノス朝の皇族が建立した修道院の遺構の残るギリシア東部フェライにも足を伸ばし、それぞれの地域権力が残した図像学的な素材(教会や修道院の壁画、奉献者としての君主像など)の収集に努めた。フェライのコスモソーテイラ教会では、壁画の軍事聖者像が同時代の皇帝一族の似姿として描写される貴重な作例を調査することができた。それらを、コンスタンティノープルの諸教会の事例と比較すれば、ビザンツ全般に適用できる君主のイデオロギーの一般的特質や地域における、そこからの逸脱や変化を感知しうる可能性があると考えられるのである。一連の考察の成果は、河出書房新社から刊行された『図説ビザンツ帝国』として社会に還元することができた。また、昨秋に公刊されたJ・ヘリン『ビザンツ驚くべき中世帝国』(白水社)の訳出に共訳者として参加したことも、本研究の副次的成果と言えよう。
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Research Products
(1 results)