2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520767
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 啓爾 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 名誉教授 (70011765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉開 将人 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80272491)
斉藤 努 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (50205663)
西村 昌也 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 研究員 (60469236)
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Keywords | 銅鼓 / 青銅器文化 / 東南アジア / 南中国 / 鋳造技術 / ドンソン文化 / 石寨山文化 / サーフィン文化 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるため、収集したデータを集成し、互いに比較して、従来の銅鼓研究の成果に照らし、新資料から得られる知見についてまとめることが主要な作業になった。本課題の前提になったベトナム地域における銅鼓発見数の激増はまぎれもない事実であるが、きわめて遺憾なことに、それらの多くは偶然発見物(というより金属探知機を用いた盗掘の産物であることがほぼ確実)で、そのような来歴の結果として、資料は骨董品ブローカーから海外を含むコレクターの手にわたり、散逸状態にある。インドネシア発見大型銅鼓との比較により関連を知りたいと思った大陸部最大のHoa Binh鼓も、ベトナム考古学者を煩わせての探索にも拘わらず、現在の所在地をつきとめることはできなかった。資料の一部はコレクターのもとで、実物を見られるが、出土地、出土状態、出土時の共伴遺物などがまったく不明なものが多く、考古資料として有効に活用することが困難である。このような状況は憂慮すべきものであるが、現地考古学者たちでさえお手上げの状態で、法的整備と行政的保護体制の確立をベトナムの関係者に訴えていかなければならない。それでも概略の出土情報からみて、従来銅鼓分布の空白地で銅鼓使用がなかったのではないかとさえ思われたベトナム中・南部地域やカンボジア地域にも銅鼓が相当数発見され、その中には甕棺葬が発達したサーフィン文化地域において甕棺の代わりに銅鼓を用いた埋葬なども知られるようになった。また実物の検討に基づく西村昌也の研究により、タイなど南部地域の銅鼓には独自の地域的特色が指摘され、一定数の銅鼓について鼓面の縁に近いところに湯口とみられる痕跡が指摘され、鋳造技術の検討でも研究の前進があった。吉開将人は鳥居龍蔵の事績を中心に学史的研究を進め、中国南方民族と日本の先住民族論を重ねた形で、民族交代論、銅鼓・銅鐸が扱われていることを指摘した。
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Research Products
(3 results)