2010 Fiscal Year Annual Research Report
考古学と地下探査の協同による近世薩摩焼研究再構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
21520772
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
渡辺 芳郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (10210965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 明大 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 主任研究員 (20290934)
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Keywords | 薩摩焼 / 窯跡 / 地下探査 |
Research Abstract |
本年度は,研究実施計画に基づき,鹿児島市日置市美山苗代川窯跡群の南京皿山窯跡において,地下探査ならびに発掘調査を実施した(平成22年12月18日~平成23年1月10日)。なお同窯跡は日置市の指定文化財であるが,調査地点はその北側,指定地外の平坦地である。 発掘調査に先立ち,地下探査(地中レーダー・磁気探査・電気探査)を実施したところ,窯跡と推定される反応が2ヶ所で得られた。その2ヶ所にそれぞれトレンチを設定し,発掘調査を実施した。その結果,1号トレンチからは燃焼室,2号トレンチからは焼成室が検出された。また探査によって推定された窯体の深度についても整合する結果が得られた。 今回の調査の成果は以下の2点である。(1)地下探査成果と発掘調査成果との整合性が高く,近世窯跡の調査において,地下探査が有効な調査方法であることが明らかになった。今後,近世窯跡において地下探査の導入が望まれる。(2)市指定地外において窯跡が残存していることが明らかになり,うち1基の連房式登窯の規模(長さ約30m)と形態(燃焼室+6~7室の焼成室)が推定可能になった。その結果,近世薩摩焼の歴史における南京皿山窯の位置づけについて,有力な情報が多数得られた。 以上2点により,本研究の「地下探査と発掘調査との照合」「薩摩焼研究の再構築」という本研究の2つの目的は十分に達せられたと言える。2011年度に正式報告書を刊行する予定である。 また研究成果の社会的発信として,発掘調査中の2011年1月9日に遺跡説明会を開催し,一般市民70名以上の参加者を得た。
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