2011 Fiscal Year Annual Research Report
考古学と地下探査の協同による近世薩摩焼研究再構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
21520772
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
渡辺 芳郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (10210965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 明大 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 主任研究員 (20290934)
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Keywords | 薩摩焼 / 窯跡 / 地下探査 |
Research Abstract |
平成23年度は,交付申請書に記載した「研究実施計画」に沿って,昨年度までに実施した鹿児島県日置市美山・苗代川窯跡群における測量調査・物理探査・発掘調査の成果を,研究成果報告書として執筆・刊行した。 成果報告書は「はじめに-本研究の目的-」「I薩摩焼について」「II苗代川窯跡群について-2006~2009年の調査成果-」「III2009年度の調査-BO2地点-」「IV2010年度の調査-南京皿山窯跡-」「V考察」「おわりに」より成る総76ページである。本研究の前に実施し,研究の基礎となった分布調査・測量調査・物理探査成果(第II章)を踏まえ,BO2地点(第III章),南京皿山窯跡(第IV章)の調査成果を報告した。その結果,BO2地点において長さ約30mの単室登窯が埋没している可能性が高いこと,南京皿山窯跡において,日置市史跡指定地外に窯体が残存しており,そのうち1号窯跡が全長約30m,燃焼室+6~7焼成室の連房式登窯であることが明らかになった。また発掘調査成果は,事前に実施した物理探査成果(所在地点・深さ・構造など)とよく整合し,近世窯跡調査において物理探査がきわめて有効であることを実証した(第IV章)。 以上により,本研究の「地下探査と発掘調査との照合」「薩摩焼研究の再構築」という2つの目的は十分に達せられたと言え,また成果報告書の刊行により,その成果を社会的に還元することができたと考える。
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