2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520774
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
三宅 俊彦 専修大学, 文学部, 兼任講師 (90424324)
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Keywords | 考古学 / 中近世 / 貨幣 / 海域アジア |
Research Abstract |
本研究は、海域アジアの銭貨流通を、考古資料である出土銭貨から復元することを目的としている。その目的のため、これまでに平成21年度はベトナムにおいて一括出土銭の調査を行い、平成22年度にはインドネシアのジャワ島とバリ島において出土銭貨の調査を行っている。最終年度となる平成23年度は、2012年2月にインドネシアのバリ島において、出土銭の調査を行った。調査した資料は、バリ島中央部の外輪山に位置するレ・グンディ・クブサリヤ寺院で発見されたものである。この資料を調査することで、バリ島において近世に使用された銭貨の種類と流入経路を解明できると期待された。 この調査の対象となった出土銭は2008年に寺院の改修中に発見されたもので、当初は1万4千枚あまりあったと報告されており、現地での聞き取り調査により一括して出土したのではなく、数カ所から発見されたものを集めたとのことである。過去に複数回行われた祭祀儀礼に使用されたものと推測される。その後寺院で行われる祭祀儀礼に再度使用され、調査時点では4,965枚に減少していた。 調査の結果、銭貨は中国銭が主体となっており、中でも清朝銭が4,470枚と約90%を占めていた。中国の銭貨は他に唐銭(開元通寳)14枚、北宋銭118枚、明銭20枚などがあった。このことから、バリ島へは中国から銭貨がもたらされたことが明らかとなった。また日本の寛永通寳63枚、長崎貿易銭(元豊通寳)5枚など日本の銭貨や、ベトナム中部で鋳造された私鋳銭227枚などが発見されており、日本や東南アジアからの流入も確認できた。 本研究により、インドネシアにおける銭貨の流通状況と流入経路の解明に向けた、具体的なデータを入手できたことは、東アジア・東南アジア地域の銭貨流通を復元する上で、重要な成果と言える。
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