2010 Fiscal Year Annual Research Report
欧州における地域政策の実施・持続性とソーシャル・キャピタル形成の関係に関する研究
Project/Area Number |
21520797
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 潤 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (90284562)
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Keywords | 持続的発展 / 地球温暖化 / 二酸化炭素 / 地方自治体 / 環境補助金 |
Research Abstract |
本研究は、持続的発展をめざした各種の地域政策が実施されている欧州を対象に、ソーシャル・キャピタル形成と地域政策の実施・持続性の関係を明らかにすることを目的した。本目的にもとづき、平成21年度の調査結果を踏まえて抽出した4対象自治体の各アクターへの調査を通じて、LIPの事業主体の把握と、ソーシャル・キャピタル形成の程度を評価し、地域政策の持続性との関係を検討することを、平成22年度の研究実施計画で示した。 上述した研究計画にそって、平成21年度と同様に、予備調査、現地調査、調査後の分析に分けて調査をすすめた。予備調査では、LIPのアクターと現地調査の項目を精査し、調査票を作成した。現地調査では、マルメ、ヴェクショー、リーンショッピング、ストックホルムの4対象自治体でのソーシャル・キャピタル形成状況を定量的に把握するため、抽出したアクターを現地調査の被験者として、8月20日から9月20に調査を実施し、ソーシャル・キャピタル形成の程度を把握するためのデータを収集した。最後に調査後の分析では、現地調査の結果、得られたデータと多変量解析の一つであるネットワーク分析を用いて、ソーシャル・キャピタルの一要素であるソーシャル・ネットワークの度合を定量的に把握可能か検討した。加えて、事業実施期間と事業実施後の分析結果を比較することで、ソーシャル・ネットワークの時系列的な変化も測定可能か検討した。 上述した平成22年度ならび平成21年度の調査結果をもとに、LIPを実施した自治体と未実施の自治体に関して、CO2削減に寄与した要因を計量分析により詳細に検討し、CO2削減にLIPがさほど寄与していない点を解明する一方で、LIP事業における主要なアクターが一般市民ではなく、行政や公営企業であることも明らかにし、その成果の一部を全国学会で報告する一方で、査読論文で公表した。
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