2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本土地所有権構造の形成と変容-土地と「ムラ」の法史学
Project/Area Number |
21530013
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川口 由彦 法政大学, 法学部, 教授 (30186077)
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Keywords | 土地所有 / ムラ / 村会 / 調停 / 裁判 / 紘毒 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度以前から調査を行っている群馬県山田郡毛里田村(現は、太田域に編入)の調査と分析にかなりの力を割いた。 毛里田村における「土地と『ムラ』」の特徴は、戦前の小作争議期と戦後の鉱毒被害運動期の二つの時点でよく見られる。 鉱毒被害運動については、この運動の中心となった恩田正一家で聞き取りを行い、関連資料を収集した。これまで発見されていない戦後鉱毒運動の資料があり、これは、2011年度以降に分析することとする。 戦前の小作運動は、1920年代に盛んに見られ、村を挙げての大紛争となり、その解決は、小作調停や裁判という、いずれも裁判所の関与するシステムを利用しないと不可能だった。 これらの解決を見ることにより、村内合意のシステムが大変容をうけ、この延長上に、1930年代の経済更生運動が展開する。 今年度は、この小作運動に見られる「土地と『ムラ』」の諸特徴を論文としてとりまとめ、著作として公刊した。その際、毛里田村の特徴を明確にするため、隣村の新田郡強戸村(現在は、太田市域に編入)の小作争議についても詳しく調べ、分析した。 ただ、これらは、1920年から26年までしかたどっておらず、1930年代にはふれていない。この点の検討は、2011年度の課題である。
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