2009 Fiscal Year Annual Research Report
政府間ガバナンス変容下における人的資源管理に関する研究
Project/Area Number |
21530134
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
稲継 裕昭 Waseda University, 政治経済学術院, 教授 (90289108)
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Keywords | 行政学 |
Research Abstract |
本研究は、「複数の行為主体間における相互作用のあり方、そのあり方に影響を与える諸要因、それらの要因がその相互作用を形成するメカニズム」がガバナンスの探求課題であると考え、政府部門(地方政府及び中央政府)における人的資源管理・配置について、90年代以降の政府間ガバナンス(中央政府・地方政府間、地方政府相互間)の変容に着目して実証的に検証しようとするものである。 その際、国内の事例のみならず、政府間ガバナンスの極端な組み換えを経験しつつも、人的資源管理について「資源の共有」などのかなりの柔軟な対応をしている、オーストラリアなどの諸外国の知見をも参照しつつ検証を行う。 公的部門における人的資源管理の理論的研究は日本においては皆無に近く、諸外国においても研究の蓄積が少ない。それらの中から、本研究に適用が少しでも可能な理論モデルを探ろうとしが、21年度内にはまだ納得のできるモデルに出会うことはできなかった。 他方、比較対象国であるオーストラリアの現状を探るために、ヴィクトリア州政府、NSW州政府ならびに連邦政府のそれぞれ人事担当部門へのヒアリングを行った。公務員制度,中央と地方の権限の分配方法とその内容,中央の出先機関と地方団体の関係などについてある程度、その概要を把握することができた。日本のような中央政府から地方政府(連邦政府から州政府、州政府から地方自治体)への職員の日本で言うような出向は皆無であることがヒアリングから確認できた。そのような異動をする場合、いったん退職して他の政府へ勤務することになるが、これには、年金制度の障壁が大きく、連邦政府から州政府への異動は珍しい例である。資源共有については必ずしも十分な事例に出会うことはできなかった。次年度の課題としたい。
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