2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 雅敏 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (00201012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 正幸 群馬大学, 社会情報学部, 教授 (40217609)
TURNBULL S.J 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (90240621)
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Keywords | 家計生産 / 時間配分 / 道路需要 / 道路料金 / 道路資本 |
Research Abstract |
「道路料金形成理論」、「家計生産と時間配分の理論」および「最適課税と公共料金理論」に関する古典的文献の研究を行い、政府の料金・課税政策の評価を可能にする家計の時間配分と道路サービスの家計生産を考慮した基本的な一般均衡モデルを構築した。 具体的には、マーリース流の能力差による所得格差モデル、ベッカー流の家計生産理論に基づくルート・交通機関選択モデル、ダイアモンド・マーリース流の間接(ガソリン)税・道路料金モデルを統合した「道路経済の一般均衡モデル」を作成し、以下のような基本的な分析結果を得た。 (1)ある臨界賃金率以下の賃金率を得る低所得クラスに属する個人は、時間はかかるが金銭的費用が低いルート・機関を選択する。反対に、高所得クラスに属する個人は、金銭的費用は高いが時間節約的なルート・機関を選択する。 (2)臨界賃金率は二つのルート・機関の間の時間差分の金銭的費用差に等しい。 (3)ガソリン税・道路料金や公共財としての各ルートの道路容量は、臨界賃金率への影響を通じて経済全体の一般均衡効果をもたらす。この効果の社会厚生への影響を分析することで、政府の料金・課税政策の変更と道路整備の政策評価が可能となる。 このモデルは実際の道路問題の調査と分析を行っている財団法人計量計画研究所や群馬大学、九州大学、神戸大学、北海道大学などの関連機関で報告され、意見交換が行われた。「派生需要としての道路需要や準公共財としての道路の定式化などについて、モデルを若干改善する必要がある」というのが出席者からの主要なコメントであった。また、「道路経済の一般均衡モデル」を実証分析用のモデルとするための検討と、パーソン・トリップ調査などを基にしたモデルのパラメータ推定のための資料やデータの収集が行われた。
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