2011 Fiscal Year Annual Research Report
事業所間の技術の共有が設備投資の調整費用にもたらす影響に関する理論と実証分析
Project/Area Number |
21530240
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
打田 委千弘 愛知大学, 経済学部, 准教授 (50305554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
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Keywords | 資本の調整費用 / General Purpose Technology / 自動車の電子制御化 / SMM |
Research Abstract |
我々は,本年度(平成23年度)独立行政法人経済産業研究所のディスカッション・ペーパーとして,以下のタイトルで成果を発表した. "Technology and Capital Adjustment Costs : Micro evidence of automobile electronics in the auto-parts supphers."(打田委千弘・竹田陽介・白井大地,12-E-001) DPの内容としては、自動車の電子制御化をGeneral Purpose Technologyとして捉え、日本の自動車部品産業の事業所の資本において、如何なる調整費用が発生したかについて定量的に分析した。具体的には、電子制御化の技術として、電子制御燃料噴射装置(PET)・電動パワーステアリング(EPS)・ABS・エアバッグ・ナビゲーション・ワイヤーハーネス・リチウムイオン電池の7つの技術を取り上げた. 我々の用いたデータは,事業所レベルのデータである『工業統計表』および各技術に関する特許の取得指標である.推定手法については,Cooper and Haltiwanger(2006)に従って,SMM(Simulated Method of Moment)を用いた.推定の結果、自動車の電子制御化の導入は、日本の自動車部品事業所の設備投資を可逆的にすると同時に、事業所のリストラ・労働者の再訓練・組織改編などによって起こる事業所の規模に比例する固定費用が顕著になったことがわかった. 労働者の再訓練が必要になる原因として、技術者に要求される技術知識が、従来までの機械工学のみならず電気電子工学も付加されたことが考えられる.そのため、労働者の再訓練による調整費用がもたらす生産の損失を抑えるための政策として、自動車部品産業と電気機械産業の地域集積・人的交流を通じて、工学全般に高い水準の知識をもつ標準化人材の育成を奨めることが望まれる.
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