2010 Fiscal Year Annual Research Report
マンガビジネスの進化に関する実証研究―国際比較を通じた創造的事業システムの解明―
Project/Area Number |
21530375
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 美弥子 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (30333587)
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Keywords | マンガビジネス / 事業システム / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は,マンガの国際競争力を生み出す創造的事業システムを,国際比較を通じて解明することである.今回の科学研究費で明らかにしたいのは,1.日本のマンガの事業システムの進化の解明,2.日本と海外のマンガの事業システムの比較,3.国際競争力を生み出す事業システムの構築可能性を検討することである. 今年度は,昨年度に実施した(1)マンガビジネスの事業領域に関する2次資料にもとづく分析範囲の明確化,(2)分析の対象となる企業の選定およびパイロット調査,(3)パイロット調査にもとづく分析枠組みの構築を踏まえて,(1)マンガビジネスにおける電子化に関する調査および分析,(2)電子化に伴った既存事業の変化に関する調査および分析を行った. 明らかになったのは,以下の3点である.[1]電子化は事業によって進捗の程度が異なること,[2]電子化は同一事業であっても,企業の規模や戦略によって異なること,[3]電子化が既存の事業システムに及ぼす影響として,利害関係者の増加による事業間関係の変化や,それに伴う権利関係の複雑化や利益配分方法の変化などが明らかになった. [1]については,出版事業が従来の紙媒体と並行し電子書籍に着手するのに対し,映像事業ではテレビの地上デジタル化のように一元化が進んでいる.[2]については,大手出版社と中小の出版社では電子化の取り組みに差がみられる.[3]では,通信事業者や電機メーカーなど,新たに加わった利害関係者によって,マンガビジネスの構造が複雑に変化していることが明らかになった.
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