2009 Fiscal Year Annual Research Report
複数プラットフォームの企業間分業にもとづく製品開発の実態とその課題の研究
Project/Area Number |
21530382
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
安本 雅典 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 准教授 (40293526)
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Keywords | プラットフォーム / インテグレータ(統合)企業 / 製品開発 / オープン化 / エコシステム / 垂直分裂 / 市場の分化 / システム・アーキテクチャ |
Research Abstract |
平成21年度は、おもに日本において携帯電話端末メーカー、ICメーカー、電力制御システム開発企業、自動車メーカーなどに対して調査を行った。同時に、産業構造、業界動向、技術についての先行研究や情報の収集を進めた。一方、国内外の学会・セミナーで発表を行い、関連分野の研究者や業界関係者と意見交換を行うことで、調査・研究の方向性を検討した。これらの成果を総合し、垂直分裂やオープン化が進むなかでの、複数のインテグレータ(統合)企業間の分業について検討した。 世界的に垂直分裂やオープン化が進んでいるが、一部の有力な技術供給企業(たとえば特定のICプラットフォーム・メーカー)や技術の標準化主体だけがこうした変化の担い手なのではない。携帯電話、電力システム、自動車のいずれの産業でも、製品システムの階層に応じて、システムの統合を行う複数のインテグレータ企業がプラットフォームと呼べるものを提供するようになっている。完成品メーカーもさまざまな要素を統合する、インテグレータ企業である。インテグレータ企業は、構成要素の評価・検証を進めることで問題を解決し、製品システムの構成や機能配分を定めるシステム・アーキテクチャを構築している。これらの企業はエコシステム内でさまざまな構成要素間のハブとして相互に補完し合って、産業のダイナミズムを生み出している。こうした企業群によるエコシステムは、同じ産業内でも、市場の分化に対応して複数セグメントについてそれぞれ存在している。 多くのインテグレータ企業は階層やセグメントを絞ったうえで、複数のプラットフォームを用いて製品開発を進めている。以上の点を素描し、オープンな分業が進む中での製品開発では、各社の取り組んでいる製品システムの階層やセグメントに応じて、複数プラットフォーム間にわたるシステムの知識を保持している必要があることを示した。(784字)
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