2011 Fiscal Year Annual Research Report
複数プラットフォームの企業間分業にもとづく製品開発の実態とその課題の研究
Project/Area Number |
21530382
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
安本 雅典 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (40293526)
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Keywords | ビジネス・エコシステム / プラットフォーム / 標準化 / 企業間ネットワーク / 技術・製品開発 / 技術仕様と実装 / オープン化 / 統合/媒介 |
Research Abstract |
平成23年度は、自動車産業や携帯機器産業を中心に、両産業の産業構造、業界動向、技術についての先行研究や特許情報の収集を進め、成果をペーパーや資料にまとめた。一方、国内外の学会やセミナーで発表を行い、関連分野の研究者や業界関係者と意見交換しつつ、今年度以降の展開をふまえて調査・研究の方向性を検討した。 平成23年度は、上記の産業について、まず、技術的知識のレベル(特許・標準化された技術仕様)と実装のレベル(プラットフォーム/製品の設計)との違いを確認しつつ、グローバルな製品開発の企業間ネットワークを分析し、従来、概念的に検討されることの多かった企業間分業のエコシステムを実証的に理解することを試みた。その結果、異なった役割(知識・技術の統合機能や企業間の媒介機能)を果たす複数の企業が相互補完的にネットワークを形成して、エコシステムを形作っていることが明らかになった。 さらに、以上のグローバルな結果と、コモディティ化が進んでいる中国とを比較した。これにより、複数のプラットフォーム/システム企業が相互補完的なネットワークを形作っているほうが、製品システムのイノベーションが起こりやすいという予測がえられた。 一方で、以上の結果をもとに、コンセンサス標準の下での様々な企業の戦略を検討した。コンセンサス標準の下では、標準化と実装の両面でエコシステムの成立・拡張の担い手となる、典型的なプラットフォーム・リーダーしなかった。代わりに、それに準ずるプラットフォーム提供企業や活用者など、4タイプの戦略を仮に見出すことができた。さらに、従来注目されることが少なかった活用者やニッチが開発知識の統合/媒介を担い、エコシステムの拡張を促していることが示唆された。さらに、活用者やニッチの製品開発では、システム統合の能力に加え、外部技術の変化への対応のタイミングを調整する能力が必要なことを明らかにした。
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