2009 Fiscal Year Annual Research Report
人事制度の複雑性の克服に関する実証研究―知識経済におけるポスト成果主義の探求―
Project/Area Number |
21530387
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
厨子 直之 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (40452536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 浩輔 琉球大学, 観光産業科学部, 講師 (80433093)
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Keywords | ナレッジワーカー / 知識経済 / プレイング・マネジャー / ダイバーシティ・マネジメント / 成果主義 / 人事制度 / 最小有効バラエティ / アクション・リサーチ |
Research Abstract |
本研究は,知識経済における複雑性を低減する人事制度(ポスト成果主義的人事制度)の基本構造を理論的かつ実証的に解明しようとするものである。本年度は,下記の3つの研究を執り行った。 1. 定量調査に向けた質問項目設計のための先行研究レビュー ダイバーシティ・マネジメントや成果主義に関する先行諸研究を精査し,質問票調査における質問項目を作成した。 2. パイロット調査 関西生産性本部の定例研究会に参加している17名の人事担当者を対象に,1で作成した質問票を用いてパイロット調査を実施した。相関分析の結果,自社において(1) 「多種類の人事制度が設計されている程度」と「人事制度のメインテナンス業務の程度」との間に正の関係,(2) 「人事部のアイディアだけを重視して人事制度が設計される程度」と「人事部で制度導入効果に関する検討会を開催する程度」との問に負の関係,(3) 「必要最小限の人事制度を設計する程度」と「人事管理業務が効果的に行われている程度」との間に負の関係が,統計的に有意な関係として見出された。(1)と(3)の結果から,人事制度の多様性が増すとメインテナンス業務が増加し,現場の運用負担増に繋がるが,逆に最小限の設計にとどめると,効果的な運用が見込めないことが推察される。したがって,人事制度の効果的な運用には,現場の要望をできる限り考慮に入れつつ,負担軽減を可能にする施策の検討必要性があることが窺われる。 3. 病院組織におけるアクション・リサーチと一般企業のケース・スタディ アクション・リサーチを行っている民間病院において,管理職の負担軽減を目指した目標管理制度のソーシャル・サポート効果を測定した。初年度は,新制度導入前の状態を把握することが目的である。さらに,イオンのコミュニティ社員制度を題材に,多様な人材タイプに応じた人事制度が構築されるようになった変遷を分析した。
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