2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530404
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
牛島 辰男 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (80365014)
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Keywords | 企業グループ / 子会社 / リストラクチャリング / 閉鎖 / 売却 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に着手した論文2本の完成度を上げるため、追加的な分析、執筆作業を行うと共に、学会・ワークショップでの報告、国際専門誌への投稿を行った。第1の論文は東洋経済新報社『日本の企業グループ』をベースに作成されたクロスセクションデータにより、閉鎖(closure)及び売却(selloff)により処分される子会社の特徴を分析し、これらダイベストメント手法の企業リストラクチャリングにおける役割を比較するものである。分析の結果、前者は主に不振事業の縮小というオペレーショナルな役割を果たすのに対し、後者は売却収入による流動性制約の緩和という財務的リストラクチャリングの性格が強いことが明らかになった。また、この分析を補完するために、子会社閉鎖、売却のイベントスタディを新たに行い、株式市場の反応を分析した。アナウンスメントに対する株価の反応からも、閉鎖と売却が一般に異質な役割を担うリストラクチャリング手法であることが明らかとなった。この論文は平成23年5月の日本ファイナンス学会で研究代表者により発表されたほか、複数校でのワークショップ報告を経て、ファイナンス系の国際学術誌に投稿された。現在は、再投稿(revise and resubmit)のための修正作業を行っているところである。第2の論文はパネルデータにより同じ選択の問題を、閉鎖と売却が企業により決断されるタイミングの相違に特に配慮しながら分析するものである。第1論文に比べて完成度はまだ低いものの、平成23年11月のStrategic Management Societyにて、研究協力者(ニューヨーク州立大学 入山章栄)により報告され、好意的な評価を得た。これら2本の論文とも、先例のない分析を行うものであり、グループ経営、企業リストラクチャリング研究において独自な貢献となるものと期待している。
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