2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530450
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
平山 弘 阪南大学, 流通学部, 教授 (00368383)
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Keywords | ブランド価値 / 情報価値 / ブランド強度 |
Research Abstract |
本年度においてはブランド価値の崩壊に至る枠組みをより精緻化することを目指してきたのであるが、その成果として理論的には「ブランド強度」という概念を打ち出したことである。このブランド強度という概念は「ブランド価値」と「組織特性における特定化された価値」が取り込まれ、融合することで成り立つものである。つまり、従来の製品・サービスレベルでの基本価値・経験価値・情報価値から成るブランド価値に加えて、そのブランドを取り巻く組織や社会的価値の観点からの知見も取り入れる新たな価値の存在の重要性である。特に後者の組織特性においては、「指揮命令特性」「組織間連携特性」「統率特性」「マネジメント特性」から見出される価値が大切となってくると考えられる。 もう一点成果として指摘できることは、ブランドを資産だけではなく、負債の観点からも捉えていこうとする立場である。これまでの従来研究においてはブランドを「正の資産」として捉える傾向が強く、逆に「負の資産」の観点からの研究がほとんどおこなわれていなかったこともあり、今回こうした負のエネルギーや負の遺産、負の経験価値から学ぶことを通して、それらを負の価値の相互作用による組み換えをおこなうための良循環構造へと向けた枠組みを提示したことである。このようにブランドを正の資産および負の資産から複眼的に捉えるための方向性を指摘したことは今後の新たなブランド価値の創造および崩壊に関わる研究をおこなう上で非常に重要な方向性を示したことになると思われる。 実証面においては情報価値の軽視・無視がブランド価値の崩壊に直結しているということ、またボトムアップ型の情報上の価値をその組織内に循環させるしくみを形づくっているブランド企業の優位性が再確認できたことである。
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