2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530466
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松浦 良行 Yamaguchi University, 大学院・技術経営研究科, 教授 (70274149)
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Keywords | 資本市場 / ディスクロージャー / コンバージェンス |
Research Abstract |
本研究は、財務報告制度における認識と開示の問題、すなわちフォーマット効果の存存について実証的なアプローチに基づいて多面的に分析し、本体計上か脚注処理かの制度的意思決定と証券価格形式との関わりにおける基準策定に対するインプリケーションを提示することを目的とする。 アナリストや機関投資家は、企業分析に当たり商用の財務データベースを利用すると考えるのが一般的であるが、グローバルな分析を可能となるデータベースには国毎の会計基準の相違のため必ずしも統一的に比較分析できない項目が存在している。多くの場合、これは国によって本体計上と脚注情報しいずれかに起因する問題である。平成21年度についてはこの点を明確にすることを研究の中心に裾えたが、その際とりわけ重視したのがIFRSの導入との関係である。IFRSの導入により、従前の各国の財務報告内容の相違は脚注で表示されることになり、従来以上にその意義は大きくなると考えられる。そこで、その影響分析として商用データベース上の数値と報告値の国毎の違いを、潜在的な脚注情報の役割として、その証券化各形成における意義を実証的に国際比較するためのデータセット作成に注力した。この際、IFRSを中心とした国際会計基準研究における先行研究や現在の動向をより適切に織り込むことが出来るように、研究の一部について共同研究体制を構築して実施することが適切と考え、次年度の論文作成の準備として協力体制を構築した。 今ひとつの関心領域である、一般投資家の脚注情報の利用実態分析については、当初アンケート調査を実施することを予定していたが、一般投資家の脚注情報に対する理解は極めて低いことが想定されるので、アンケート項目を十分整理しなければ有益な回答は得られない。そこで、小集団のインタビューを複数回実施し、脚注に関する認識程度を明らかにした。
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