2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530466
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松浦 良行 山口大学, 大学院・技術経営研究科, 教授 (70274149)
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Keywords | 資本市場 / フォーマット効果 / コンバージェンス / 株主優待 |
Research Abstract |
本研究の目的は、財務報告におけるフォーマット効果の存否を確認することである。そのため、1)外国人投資家保有割合に注目し、OECD諸国の上場企業の利益数値にかかるクロスセクション分析により検討することと、2)我が国上場企業を対象としてフォーマット効果を個人投資家の投資行動との関係で分析している。1)として、昨年度作成したOECD加盟各国の上場企業についての国内基準ベースの財務数値と、ワールドスコープから得られる標準化数値を利用して、両者の利益反応計数や株価説明力について検討した。このため、各国上場企業のマンスリーベースでの株価データセットを構築すると同時に、各国市場のマイクロストラクチャーに関する検討を行った。現在の財務分析を中心とする資本市場研究では、予想値を活用する方が説明力が高いことが実証的に明らかになっているが、そもそも予想値は国内基準をベースとしているためにこうしたグローバル比較は困難である。しかし、昨年度実施したヒアリング結果を踏まえ、アナリストがたとえばEPS予想を行う際に、各財務数値をどのようなロジックで関連づけているのか、あるいは各国の会計基準固有の要因がどの程度入る込んでいるのかは分からないため、国際分散投資をしている投資家はグローバルに統一化された実績値を用いて一定のスクリーニングをしていると想定し、こうした設計で行った。これを踏まえて、ある国内で外国人投資家割合が高い企業は、国内基準数値とグローバル数値との乖離が大きな所であるとの仮説を設定して検討を行い、統計的有意性を高めるための方法論の改善は必要ではあるが、一定の傾向を確認することが出来た。 2)に関しては、昨年度の一般投資家向けヒアリングを受けて、本年度二回アンケート調査を実施した。このアンケートで特に注目したのは、利益の変動が個人投資家にとって株式購入・売却の重要な情報となるのか、またなるとすればどういった幅での変動があったときか、といったフォーマット効果確認の前提となる質問に加え、我が国特有の株主優待制度の影響についても併せて調査した。
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