2011 Fiscal Year Annual Research Report
小学校・中学校社会科における調査リテラシー育成のための教育プログラムの開発
Project/Area Number |
21530493
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高田 滋 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50137478)
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Keywords | 社会調査法 / 社会科教育 / 調査リテラシー / 授業分析 / 社会認識 |
Research Abstract |
研究の主題に従い、今年度は以下のような研究を行った。 1)現行カリキュラムの各学年社会科および生活科に関連する教科書等の内容を引き続き検討し、それぞれにおける社会調査に関わる教育内容を把握した。大学等高等教育の場における社会調査法の教育を把握するため、市販されている社会調査法に関わる教科書等の内容を検討した。社会学等の蓄積してきた「モノグラフ」のうち、近年のものについて事例教材としての内容の検討を進めた。 2)社会科の授業では、何が社会的事実なのか、それをどう表現するのかといった、教員の考え方が問われる場面が少なくない。それは子どもたちの「問題」への気づきをどうとりあげ、調査学習につなげるのかの問題に関連する。社会調査法における調査技術自体とともに、得られた事実の評価や解釈が問題となることに通じている。「自己決定・個性化・体験学習」を基本とする「きのくに子どもの村学園」の教育においても、子どもの関心と気づき、それを学習に導く教師の観点は大切である。理科教育においても同様で、自然現象を言葉で表現し、生活に結び付ける局面で、私たちの持つ価値上が問題となる。子どもたちの探索型学習の成果への評価に関する問題は今後の研究に待つ部分が大きい。 3)学校教員が子供たちのかかえる問題の背後に地域や家庭の問題群を見出すのは難しくない。しかし地域や家庭また市民活動の社会的な課題を構造的に理解するには、社会への透徹した目や社会理解、また歴史的な内容も含めた学習を前提にした研究的態度を必要とする。この過程は社会調査そのものである。子どもたちの問題への実践的対応は「調査なくして実践なし」であり、教員が生徒理解や地域学習を正しく展開し実践していくには、社会調査への理解をさらに深める必要がある。
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