2010 Fiscal Year Annual Research Report
新自由主義への抵抗運動の文化的位相:グローバル化・ジャスティス運動と予示的政
Project/Area Number |
21530515
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
澁谷 望 千葉大学, 文学部, 准教授 (30277800)
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Keywords | 社会問題 / 社会運動 |
Research Abstract |
本研究は、「グローバル・ジャスティス運動」と呼ばれる、主義への新しい抵抗運動の実態と特徴をとくに文化実践の側面(「予示的政治」の側面)から明らかにすることを目的とする。予示的政治とは運動を社会変革という目的のための手段と見なすのではなく、それ自体来るべき社会を予示的に現出させているという思想であり、そこから従来の運動にないさまざまな特徴が生まれるものと思われる。 本年度(2年目)は、計画としては(1)理論的整理、(2)聞き取り調査、(3)運動言説の収集整理を予定していた。 (1)に関しては、「コモンズの取り戻し」としてのグローバル・ジャスティス運動をアンジェリスおよびホロウェイの議論に基づき整理し、マリア・ミースらのエコフェミニズムの議論とのつき合わせを試みた。これらの論者はコモンズの破壊を資本主義の成立に不可欠な本源的蓄積過程(ないし広義の囲い込み)であると押さえた上で、これが現在も継続中の過程とみなす。この理論的視座から、グローバル化を「囲い込み」と「コモンズの取り戻し」のせめぎ合いとして押さえると同時に、資本の「災害的性格」に焦点を当てることが可能になった。 (2)に関しては、バンクーバーのアフィニティ・グループとシドニーのアフィニティ・グループの聞き取りを行った。バンクーバーでは、近隣都市ビクトリアで行われた運動関係のブックフェアの参与観察と主催者へのインタビューを行うと同時に、反オリンピック運動にかかわったアフィニティ・グループに聞き取りをした。シドニーでは、2008年の反G8行動で来日したアフィニティ・グループを中心に聞き取りをおこなった。 (3)については、シドニーのミニコミを中心に資料収集を行った。
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