2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故問題の構築とインターネットにおける公共圏形成
Project/Area Number |
21530523
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
栗岡 幹英 奈良女子大学, 文学部, 教授 (20145155)
|
Keywords | 放送倫理・番組向上機構 / 法曹人権委員会 / 委員会決定第46号 / 被告発者の反撃 |
Research Abstract |
最近の医療裁判において社会的に注目された事件についての患者側敗訴が続いているが、高額の患者側勝訴例も散見される。しかし、最高裁判所の発表によれば、訴訟件数および請求認容事例が減少していることも事実である。注目される事件での敗訴報道が、被害者・家族の提訴への動きを萎縮させている可能性がある。とはいえ、この問題は実際に検証することが極めて困難な類のものである。 こうした点に鑑みて、本年度は医療被害の当事者およびこの問題について発言している医師やジャーナリストに、こうした状況をどのように認識しているかを聴くための機会を作ることを最大の課題とした。この集会を、当初2011年3月26日に東京で開催する予定であったが、東日本大震災の発生による東京の混乱に鑑みて7月30-31日に開催することとし、実行した。 この会合では、医療者側が患者を支援しているとみなす報道機関やジャーナリストに対して組織的に反撃していることが主張され、その例として金沢大学医学部における患者に無断で治験を行った事件や杉並割り箸事故事件に関して放送倫理・番組向上機構の法曹人権委員会が下した決定(第46号および第41号)を例に、この機構が社会的に果たしている機能について意見を交換した。 医療被害をめぐる紛争について、当事者間の具体的な紛争の携帯を、被害者側からに限られているとはいえ、指摘したことには意義がある。
|