2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530588
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
副田 あけみ 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (60154697)
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Keywords | 介入研究 / 実践モデル / 高齢者虐待 / 解決志向アプローチ / 安心づくり安全探しアプローチ |
Research Abstract |
1.研究目的と方法 高齢者虐待事例に取り組んでいる援助職にとって有用で、高齢者や養護者にとっても有益な実践アプローチを開発し、その普及を目指す。研究方法は、介入研究の方法であるM-D&D(修正版デザインと開発)を採用した。 2.研究の成果 フェーズ1(問題の把握と分析)では、各種調査により援助職の大半が対応に困難を感じていることを、また、彼らの困難感や回避感情を弱め、養護者との関係づくりに役立つ実践アプローチは、わが国だけでなく英米の文献でも未,開発であることを確認した。フェーズ2(たたき台のデザイン)では、子ども虐待事例への取り組みに関する文献や、行政・地域包括支援センター職員への面接調査を踏まえて、解決志向アプローチに基づく高齢者虐待事例への実践アプローチを開発した。これを安心づくり安全探しアプローチ(AAA)と名付け、援助職に学んでもらうための研修プログラムも開発。フェーズ3(試行と評価)では、H22年3月から1年間に東京都内、関東近県、北陸の計9つの市町村で実施した。本アプローチの有用性評価のため、(1)研修前後の質問紙調査、(2)(1)の回答者のうちシート配布を希望した者に対するシート送付3ヶ月後に質問紙調査、(3)研修参加者のうち20名の援助職を協力者とする経過記録調査、を実施している。研修参加者の意見を踏まえ、毎回、プログラム内容の微調整、シート改善などを実施している。(1)の結果(H22年7月までの5か所分)では、回答者(250名)の高齢者虐待事例への対処可能感が、研修前の平均得点16.8点(標準偏差2.4)、研修後18.7点(標準偏差2.1)と有意に上昇(t=13.2,p<.01)が見られた。AAAの考え方・技法を使いたいという回答は全体の約70%あった。こうした結果から、AAAが援助職にとって有用な実践アプローチとして活用される可能性を示すことができた。今後は研修を重ねるとともに、研修3か月後質問紙調査と経過記録調査による評価を試みた上で本アプローチの普及を図る方法を検討する
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Research Products
(5 results)