2010 Fiscal Year Annual Research Report
若者自立塾プログラムが利用者に与える影響に関する心理学的研究
Project/Area Number |
21530650
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安保 英勇 東北大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (50250650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上埜 高志 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60176617)
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Keywords | 社会系心理学 / 若者自立塾 / ニート対策 |
Research Abstract |
平成22年度は研究フィールドであるK自立塾で調査を重ね、スタッフと利用者に対してインタビュー調査を行い、また、全国の若者無業者に対してアンケート調査を行った。 インタビュー調査では、非行の背景を持つ利用者が対象となり、入塾による変化は、生活リズムや問題行動の改善、意志や感情の適切な表現、内省的な思考、将来展望、達成感の獲得など多岐に渡って認められ、これらの変化の背景には、自立塾側の適切な問題設定やそれを意識した利用者への関わり方などが指摘された。 若者無業者のアンケート調査では、587名から回答を得た。第一に回答者をその行動特性から「ひきこもり群(n=215)」「準ひきこもり群(n=231)」「非ひきこもり群(n=141)」に分類し、キャリアレディネス、人生レディネス、精神健康度の点から検討した。キャリアレディネスでは、ひきこもり群は、他の群と比べキャリアに対する「関心性」「積極性」が低く、人生に対する「真摯性」「具体性」も低かった。また、精神健康度も悪く、カットオフ値を超えるものが80.9%を占めていることが注目される。第2に求職活動の点から「失業者(n=169)」と「ニート(n=418)」に分類し検討を行ったところ、ニート群で上述とほぼ同様の結果を得た。これらの人々に対する自立支援を考える際には、人生や職業生活へのオリエンテーションというごく基本的なキャリア教育を考える必要性やメンタルヘルスの問題に十分配慮することが求められよう。一方、自立塾に関しての設問に対する自由回答からは、利用度・認知度が低く、利用を希望する者も少なかった。利用を希望しない理由としては、制度の理解不足、対人関係の苦手意識などが挙げられ、これらを考慮した制度の設計が必要と思われる。
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Research Products
(1 results)