Research Abstract |
不適切な援助事例の収集のための教師(援助者側)に対する半構造化面接調査の実施 小中学校を対象とした教師の援助行動に関する先行研究をレビューした上で、小学校および中学校の教師に対して学習場面および非学習場面における児童生徒への人的援助についてどのような事例を経験し,またどのような意識を持っているのか,半構造化面接を通して事例を行った. 具体的には,学校場面での諸々のエピソードを呈示して,その場面で児童生徒に対して,どのような援助行為を行い,その帰結(援助効果・援助成果)がどうであったかということを,計10名の教師に尋ねた.その結果,多くの教師において,児童生徒への直接的な働きかけを行う前に,ある程度の援助手控えをし,児童生徒の自律的解決を促すような行動をしていることが明らかになった.援助の適切さについは,そもそも教師において,そのような概念や考え方がなく,児童生徒にとってその行動がどのように適切のかそうでないのかといった判断は難しいということであった.加えて,特定の児童の困窮状況であっても,公平性の観点から,その児童のためだけに援助の行動をすることの難しさの指摘もあり,学級内でのエピソード事例にあっては,児童生徒に適切な援助を行うどとが難しい状況も浮き彫りになった. 今回の面接調査から,教育指導場面において,教師の援助的行動が各自の経験や考え方に依存した形で行われており,その援助が適切であったかどうかの点については,自分ではなかなか判断できないとする人が多かった.この問題については,第三者的視点から判断されるものなのかもしれない.なお,総合的なデータ分析とその検証はこれから行い,2010年度において研究発表する予定である.
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