2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530671
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
遠藤 由美 Kansai University, 社会学部, 教授 (80213601)
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Keywords | 伝統型人間関係 / 現代型人間関係 / 寝屋子 / ゲマインシャフト / 凝集性 / コスト |
Research Abstract |
本研究は伝統型人間関係として寝屋子(三重県鳥羽市答志地区)と現代型人間関係としてWEB上のSNSを選定し、そこで人々が関係性を構築し維持する仕方と動機づけのメカニズムを明らかにすることを目的とした。初年度のH21年度は、まず答志地区を数回にわたって訪問し、調査への基幹協力者を見いだしラポールを構築した。続いて、14名から聞き取りを実施した。これまでのところ、寝屋子に組み込まれた場合、親戚以上の非常に濃密な関係を築きまたそれを「よいもの」として肯定する。他方、何らかの事情でその「資格」がない、成員性維持のコストを払えそうもないとみなされた場合は加入を拒否され、集団の境界線を鮮明なものとして凝集性を維持していることが判明した。ここから単なるゲマインシャフト的関係ではなく利得の合理的判断が働いている部分が示唆される。他方、産業・社会構造の変化から寝屋子存続の必然性の基盤が揺らいでおり、それでも成員らは「よいものは維持したい」として、存続のあり方を模索している。WEBを介した人間関係に関する調査は20代30代の男女約1100人からの回答を得て、分析を進めているところである。詳細はまだ明らかにされていないが、これまでのところ、性別と職業(大学生・社会人)などの要因によって交流の様相が異なるようであるものの、WEB上の人間関係は実社会でのそれと重複し、経済的時間的コスト負担を軽減しつつ居場所と情報確保を保持するための「現代の寝屋子」的機能をもたせていることが伺える。
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