2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア系看護師・介護福祉士の日本における文化接触をめぐる諸問題
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21530672
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
浅井 亜紀子 桜美林大学, 言語学系, 准教授 (10369457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 節子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60305688)
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Keywords | 文化接触 / 看護師 / 介護福祉士 / 病院 / 特別養護老人 / 二国間経済協定(EPA) / インドネシア / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、経済連携協定(EPA)で来日しているアジア系看護師・介護福祉士候補者(以下候補者)の来日直後から滞在期間中の異文化体験を分析し、マクロとマイクロの両視点を取り入れた異文化接触理論構築を行い、今後の受け入れ環境改善を目指す。日本での調査は、共同研究者3人で手分けして第1,2期生インドネシア人医療人材を受け入れている病院14、老人保健施設2,特別養護老人施設13を訪問し、施設運営者、教育担当者、候補者と面接した。インドネシアでの調査(2011年2月26日~3月8日)では、看護教育、仕事環境、地域の保健医療事情、老人のケアに対する価値観を知るために、ジャカルタだけでなく地方でも調査した。候補者(とくに看護師)の異文化ストレスは職業アイデンティティのゆれが関係していた。母国では正規の看護師として働いた経験を持ちながら日本の国家資格取得までは看護助手として働くことに、自尊心を傷つけられ、看護スキル低下の不安があった。これらのストレスに影響を与えるマクロの要因としては、日本政府内の省庁による責務の違いや、日本とインドネシア政府間の力関係を反映したEPAスキームの問題がある。インドネシア国内では看護師ポスト不足と雇用条件の悪さもあり、医療人材の送り出しが盛んである。環境要因としては、施設の受け入れ体制や日本人との関係性がある。EPA候補者を労働力不足の解消とみるか国際協力や交流の対象とみるかは施設の規模や理念に関係し、これらは候補者への教育や研修時間や内容に影響を与える。候補者の教育担当者、日本人スタッフとの関係性は候補者の仕事のストレスに大きな影響を与える。個人要因としては、候補者の来日動機、勉強の動機、日本語能力、家族への思いがあり、これらが国家試験合格を目指すスキームに順応できるか否かを決めていた。
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