2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530678
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鎌原 雅彦 Chiba University, 教育学部, 教授 (90169805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
闌 千壽 千葉大学, 教育学部, 教授 (90127960)
中澤 潤 千葉大学, 教育学部, 教授 (40127676)
大芦 治 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30289235)
岩田 美保 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00334160)
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Keywords | 学校心理学 / 学校心理学 / 現職教員 / 内発的動機づけ / 学習性無力感 |
Research Abstract |
本研究は近年の学校心理学への関心の高まりの中で、学校心理学の基礎をなす心理学的な知見が現職教員や学校心理士の間でどのように理解され、その有用性が認知されているかについて検討し、それらが実践と有機的に結びつき現場の教員にとっても真に有用なものとなる方策を探ろうというものである。本年度は、特に心理学的な知見が実際の現場で理解され、有用性を発揮すると思われる例について内外の文献を検討し、動機づけ関連概念の中でも、比較的理解しやすく、また、これまでの調査などから現職教員の関心も高い「内発的動機づけ」と「学習性無力感」の2つを中心的テーマとして取り上げることとした。さらにそれらの概念が自らの教育実践のなかでどのような体験事例と関連づけて理解されているかについて予備的な調査を実施した。教員免許更新講習の受講者である小中高等学校(特別支援学校含む)の教員166名を対象に、「内発的動機づけ」「学習性無力感」を含む学校心理学に関する12の専門用語についてその熟知度・実践場面での有用性について評定を行った後、これらの概念を中心に講義を行い、その教育現場での体験例を自由記述により収集した。熟知度についてみると、「内発的動機づけ」は12項目中3番目に平均が高く比較的よくしられていたが、それでも「理解」しているのではなぐことばは知っているという水準であった。自由記述についてみると、「内発的動機づけ」では、課題や物事への興味について(24%)や個人の目標の重要性について(12%)の事例があげられたが、評価や賞賛を与えること(15%)、誉め方・叱り方について(8%)など外発的動機づけに関する、さらに教師の指導・家庭教育に関する記述も(21%)みられた。一方「学習性無力感」については、個人的な学習経験や学習観からの無力感の形成に関して多くの記述(25%)がみられたが、学習指導の工夫に関する記述(16%)や指導工夫によって改善がみられなかった事例や課題呈示の失敗による無力感の形成の事例などがあげられ、こうした概念が教育現場での事例を理解する一つの枠組みとなりうることが示された。
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