2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530678
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鎌原 雅彦 千葉大学, 教育学部, 教授 (90169805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 千壽 千葉大学, 教育学部, 教授 (90127960)
中澤 潤 千葉大学, 教育学部, 教授 (40127676)
大芦 治 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30289235)
岩田 美保 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00334160)
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Keywords | 学校心理学 / 現職教員 / 動機づけ / 事例分析 |
Research Abstract |
本研究は近年の学校心理学への関心の高まりの中で,学校心理学の基礎をなす心理学的な知見が現職教員や学校心理士の間でどのように理解され,その有用性が認知されているかについて検討し,それらが実践と有機的に結びつき現場の教員にとっても真に有用なものとなる方策を探ろうというものである。これまでの調査に基づき,教育心理学における動機づけ概念によってより適切に理解されうる教育実践場面での典型事例を作成した。さらにこれらの典型事例について、現職教員を対象に理論的な適切さと教育実践現場でよくみられるという意味で、実践的適切性をもつものかについて調査した。学習性無力感5事例、内発的動機づけ6事例を用意し、現職教員150名を対象に適切性の評価とともに、事例についての自由記述を求めた。内発的動機づけにおける外的な報酬ないし罰のみによる事例を別とすれば、学習性無力感の事例によりも内発的動づけの事例でより適切であると評価された。学校心理学用語の理解度の高い被調査者や教職経験の長い被調査者では、学習性無力感というひとつの理論だけではなく、発達障害、信頼感、目標、生活体験あるいは自己決定等さまざまな視点から理解する可能性示された。内発的動機づけの事例における、外的報酬ないし罰のみの事例は、その概念的適切性が低く評価されたが、こうした事例は基本的にオペラント条件づけの原理で理解されるという視点も提供され、条件づけと学習性無力感理論も自己決定理論の関連を再考する必要性も示唆された。こうした結果に基づきより理論的に適切な教材としての事例の作成が期待される。これまでは学生無力感理論と内発的動機づけ理論を中心にとりあげてきたが、古典的な行動理論や目標理論、帰属理論等を含め実践的な事例から諸理論を統合的に理解する可能性も示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献および現職教員を対象としたデータの収集はおおむね順調に進んでいる。 しかし、データの分析、とくに自由記述等の質的データの分析がやや遅れている。 研究成果もこれまで順次公表していきたが、上記の点で、成果の公表もやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
自由記述等の質的データの分析について、テキスト分析のソフトウエアの活用を図ることにより分析をより着実に進め、最終的な結果のまとめ、公表を行っていく。
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Research Products
(2 results)