2010 Fiscal Year Annual Research Report
40年にわたる生涯的縦断研究における研究者・協力者関係-両者の体験の質的分析
Project/Area Number |
21530699
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
藤崎 眞知代 明治学院大学, 心理学部, 教授 (90156852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 真理子 帝京大学, 文学部, 教授 (70130010)
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Keywords | 生涯的縦断研究 / 研究者・協力者関係 / 質的分析 / 自伝的語り / 子ども時代の意味 / 縦断研究の方法論 |
Research Abstract |
本研究は、古澤と我々が40年余りにわたり継続してきた2つの母子関係の形成過程に関する縦断研究(シニアグループ、ジュニアグループ)であり、3年間の研究期間内の目的として4点を挙げている。平成22年度はそのうち以下の3点について検討した。 (1)研究者・スタッフとして参加した者にとって、中里キャンプや月例会において体験したことの意味が、その後のそれぞれの人生の時期においてどのように変化したかを検討するため、毎月の定例会と1泊2日の秋のスタッフ合宿において、15名のスタッフがそれぞれ自分の体験とその意味について語った。スタッフの多くは現在本継続研究からは離れてはいるが、本研究に参加した経験が、心理臨床家、保育者、大学・短大の教員としての現在のそれぞれの仕事において、その基本的姿勢の礎となっていることが語られた。さらにその語りの逐語録に基づいて、15名のうち9名のスタッフがこれまでの人生の生き方とHRL体験との関連について詳細に自伝的に分析し記述したものを冊子にまとめた。 (2)シニアとジュニアの子どもと、生涯的縦断研究者、および中里キャンプスタッフが一同に会した合同ミーティングを実施し、2010年度におけるそれぞれの体験を語り、これまでのHRLを通した体験との関係性を探った。 (3)上記の合同ミーティングに基づいて、シニアとジュニアの子どものHRL中里キャンプやその他の体験が、その後の人生にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすること、さらに受動的に生涯的縦断研究の研究協力者となったことの意味から縦断研究の方法論を検討することを目的として、質問項目の検討を行った。 (4)昨年度から今年度にかけて行った研究成果について、日本発達心理学会第22回大会においてポスター発表を行った。 昨年度からこれまでに得られた研究協力者である母親達の質問紙調査と語りの逐語記録、研究者・スタッフの語りの逐語記録に基づく自伝的分析、さらにシニアとジュニアの子どもにとってのHRL体験の意味についての把握を進めている。そこには、生涯的縦断研究ならではの研究者・協力者関係の構築の過程、それぞれの生涯発達における体験の「意識による捉えの変化」について、今後、さらに語りの質的分析を行い、研究代表者・分担者の所属機関の紀要、学会などにおいて発表していく予定である。
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