2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530738
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
橋本 久美 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (30438410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 憲男 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50118139)
浜上 尚也 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (70221504)
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Keywords | 心理アセスメント / 唾液中セロトニン / 生物学的パーソナリティ尺度 / 思春期 / 不適応症状 |
Research Abstract |
本研究では、第1に、心理的尺度と対応する唾液中セロトニン濃度のマーカー値を設定することを目的として、不安障害患者と対照健常群の比較を行った。その結果、臨床群の唾液中セロトニンは健常群より有意に濃度が高いことが確認され、精神的不適応の程度と唾液中セロトニン濃度の比例が予想された。しかし、その後に行った検討では、日内変動の周期の点から、臨床群が健常群より濃度が高い理由が、両群の濃度のピークの時間差によるものであり、結果として一時的に臨床群が健常群より高くなるという逆転現象が生じるのではないかという仮説に至った。今後、この点についてさらに検証を加えたい。 第2に、学習「なまけ」学習傾向者における唾液中セロトニン濃度は、そうでない者に比べ有意に低い値を示した。さらに学習「なまけ」(怠惰)行動は、質問紙の結果から快楽志向傾向をもつことが明らかになった。脳内セロトニンは依存や嗜癖行為者では低濃度であり、その生物学的背景としてセロトニンが関与する線条体腹側部での短期報酬予測学習との関連が考えられる。従って、唾液中セロトニンは脳内セロトニンを反映すると推測される。 第3に、2007年から2011年にかけて集積したデータより、18~20歳の大学生105人の唾液中セロトニン分析とTCIパーソナリティテストの結果として、唾液中セロトニンと損害回避傾向が負の相関を、唾液中セロトニンと自己志向傾向が正の相関を示した。さらに年齢の点から、18~20歳の大学生は21歳以上の学生に比べTCIの自己志向が有意に低く、唾液中セロトニンは21歳以上の大学生は20歳以下に比べ濃度が高い結果を得た。従って唾液中セロトニンは年齢及びパーソナリティの成熟度に比例して増加することが推測される。
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Research Products
(4 results)