2009 Fiscal Year Annual Research Report
セルフ・コントロールにおける社会的随伴性の役割:他者の存在を活用した自己制御
Project/Area Number |
21530748
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
杉若 弘子 Doshisha University, 心理学部, 教授 (90257171)
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Keywords | セルフ・コントロールの評価 / 自己完結型セルフ・コントロール / 他者介在型セルフ・コントロール |
Research Abstract |
本年度の研究では、日常場面で実行されるセルフ・コントロールが「自己完結型」と「他者介在型」という2次元で評価可能であるかを確かめた。データの収集は、大学生183名(男子63名、女子119名)を対象とする調査法によって実施した。質問紙の冒頭には、試験の準備期間を背景とした困難度の異なる2つの状況を刺激文として呈示した。高難度の状況では、苦手な科目の試験であり、範囲は膨大で試験内容も難しいという設定とし、低難度の状況では、得意科目の試験であり、範囲も広くなく試験内容も易しいという設定とした。対象者には、それぞれの状況ごとに項目で示された具体的かつ場面特異的なセルフ・コントロール行動をどの程度実行しているか回答するよう求めた。回答結果をもとに、状況別に主因子法、プロマックス回転による因子分析を実施したところ、いずれの状況においても解釈可能な2因子が抽出された。そこで、2つの状況と因子に共通する項目のみを選別の上、尺度を整えたところ、「他者介在型セルフ・コントロール」因子11項目と「自己完結型セルフ・コントロール」因子8項目の2因子計19項目から成る尺度が作成された。前者の因子を構成するのは、「やったこと、経過などを誰かに報告する」「競争相手や友達のいる場所で勉強する」「最終目標を誰かに宣言する」などの項目であり、後者には、「細かな計画を立てて少しずつ処理していく」や「勉強時間や進み具合の記録を付ける」などが含まれた。状況ごとの得点分布を比較すると、他者介在型セルフ・コントロールは低難度状況で実行度が低下する傾向が認められた。それぞれのセルフ・コントロールの使い分けやその機能についてさらに検討を進めていく予定である。
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