2009 Fiscal Year Annual Research Report
個体間ジレンマと個体内ジレンマの統合に関する実験的研究
Project/Area Number |
21530764
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊藤 正人 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 教授 (70106334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 大輔 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (60464591)
山口 哲生 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 非常勤講師 (70464592)
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Keywords | 社会的ジレンマ / 自己制御 / 遅延割引 / 利己性 / 社会割引 / 調整量手続き / ハト |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者の考案した「共有」と「独占」を巡る社会的ジレンマ場面における社会的相互作用が,遅延割引や社会割引から定量化される「自己制御」や「利己性」とどのように関係するかを同一個体のデータから明らかにしようとすることであった. この目的のため,本年度は,同一個体について,遅延割引の程度(自己制御の程度)と社会割引の程度(利己性の程度)を調整量手続きにより,遅延される報酬と主観的に等価となる即時報酬量あるいは共有する報酬と主観的に等価となる独占する報酬量を求め,これらの間の関係を同一個体のデータにもとづいて分析した.実験では,ハト12個体を実施順序の異なる2群に分け,一方は遅延割引の測定後に社会割引を測定するものとし,他方は,逆に,社会割引の測定後,遅延割引を測定するものとした. この結果,遅延割引の程度,社会割引の程度は,いずれも双曲線関数モデルにより記述できることが明らかになった.また,基本となる双曲線関数モデルにバイアスパラメータを付加した修正双曲線関数モデルは,さらによくデータに当てはまることが示された.次に,こうした双曲線関数モデルから求められる個体ごとの遅延割引率(k)や社会割引率(s)の間の関係を回帰分析を適用して分析したところ,必ずしも明瞭な相関関係は認められなかった. これらの結果は,質問紙を用いたヒトの価値割引研究の結果と一致するものであり,社会割引と遅延割引が異なる過程であることを示唆している.
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Research Products
(4 results)