2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける大学教員文化の転換と教授コンピテンス開発の支援体制に関する研究
Project/Area Number |
21530828
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
津田 純子 新潟大学, 教育・学生支援機構, 教授 (90345520)
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Keywords | 大学教授法 / コンピテンス概念 / ファカルティ・ディベロップメント / 大学教員文化 |
Research Abstract |
平成22年は、コンピテンス概念に関する先行研究の動向調査及び、独の先進的FD地域のプログラム調査を実施し、1つの学会で報告した。現時点までの重要な知見は次の通りである。 1.学習成果としてのコンピテンス:コンピテンスとは、「知識を習得し実際に応用することで、適用可能にでき、その結果に責任感が持てるプロフェッショナル性」をいう。コンピテンスの獲得が、学習課程カリキュラム全体の学習目標となる。これは、学習成果について厳密にコンピテンス測定することを意味しない。大学では、評価法は、多様で柔軟であるべきで、コンピテンスは総括的試験と形成的試験の組み合わせで測定すべきであると考えられている。学習目標をコース・学科・モジュール単位毎にさらに細区分し、そのもとで、講義・ゼミ・演習を含むモジュールでのコンピテンス評価型試験は、学生の自己学習の尺度として、間接的には教授法の成果の尺度としておこなわれる。ポートフォリオは重要な試験法となる。コンピテンス評価型試験の責任は、授業担当者にあるのではなくカリキュラム開発担当組織にあるとされる。この手順に基づいて、授業担当者は授業デザインを行い授業を実施する。コンピテンスを獲得したかを評価する総括的試験は、学生自身に合格可能だと思われる時期を選ばせておこなう(学生の自己管理)。 2.経験的な学習・教育研究への転換:学習者中心のシステムづくりが学問と政治において必要なパラダイム転換とみなされ、政府は2007年以降本腰をいれて経験的な教育研究を奨励している。重点的なテーマにコンビテンス診断学がある。FD関係者の間では超域的な研究プロジェクトとFD開発が進められている。 3.若手研究者・後継者の育成:上記の教育研究奨励策には、重点的テーマで不足する研究者を増加するために後継者の助成(研究プロジェクトの若手協力者に対する奨学金制度)が含まれている。
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Research Products
(1 results)