2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネットいじめの実態とその背景となる要因に関する実証的研究
Project/Area Number |
21530895
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
原 清治 Bukkyo University, 教育学部, 教授 (20278469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 乾史 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (20240070)
山崎 瞳 佛教大学, 教育学部, 非常勤講師 (80454859)
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Keywords | 青少年問題 / ネットいじめ / 学力移動 / 学校文化 / 仲間意識 |
Research Abstract |
本研究は、京都府内に在住する児童・生徒を対象に、子ども世界のなかでおこっている「ネットいじめ」の実態を分析し、その背景にある要員を明らかにすりことを目的としている。 本年度は、「ネットいじめ」の元凶ともいわれる携帯電話利用に関する意識調査と、抽出によるインタデューも同時に実施した。とりわけ、対象を携帯電話使用開始時期にあたる小学生に焦点化し、あわせてインタビューによる保護者の意識調査をすることもできた。子どもと保護者のサンプルが照合できるように工夫したことによって、データの広がりや両者の比較教育の視点も盛り込むことができたことも大いなる成果といえよう。 本研究データからは、以下に示す5点の主たる知見を得ることができた。(1)京都府下の小学生のケータイ所持率は32.1%であり、所有開始時期は小学校4年生からが急激に上昇し、それは通塾(一部、習い事を含む)の開始時期と符合すること。(2)小学生のネットいじめの被害および加害は12.5%、10.6%と少ないものの、ネットいじめ被害・加害双方にケータイの利用頻度、とりわけ1日あたりのメール送信回数と強い相関がみられること。(3)性別によるネットいじめの相違を比較した場合、女子児童においてとりわけネットいじめの経験があると答えた割合が高くなること。(4)ネットいじめの被害と加害は強い相関関係にあり、ネットいじめの被害者となった児童が加害者に変貌するといった悪循環をもたらしている恐れがあること。(5)ネットいじめの被害は家庭でのネットルールによって多くの部分を抑止できるが、加害についてはネットルールによってその問題を抑えることは難しいこと、である。こうした日本の子どもたちの携帯電話利用とネットいじめの実態を捉えると同時に、本研究では"Cyber-bullying"とよばれるネットいじめが広がりはじめた英国における子どもたちのネット環境について実態を把握することにも努めた。わが国とどのような点において相違がみられるのかについて「仲間意識」をキーワードに分析を進めているところである。
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Research Products
(10 results)