2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネットいじめの実態とその背景となる要因に関する実証的研究
Project/Area Number |
21530895
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
原 清治 佛教大学, 教育学部, 教授 (20278469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 瞳 佛教大学, 教育学部, 非常勤講師 (80454859)
山内 乾史 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (20240070)
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Keywords | ネットいじめ / 学力移動 |
Research Abstract |
いじめはこれまでにも子どもたちや社会の様態にあわせてさまざまに深化してきた。そこで文部科学省は2007年1月にいじめを再定義し、その今日的特徴をより現状に符合させた形で理解しようとしている。こうしたいじめ問題の背景には、いじめが一定の人間関係をもつ集団のなかに入りはじめたことである(原:2007)と考えられる。それに加えて、今日では「匿名性」を特徴とするネットやケータイを利用したいじめが多く発生している。本研究では、1、どのようなメカニズムによってネットいじめが発生するのかを精緻に分析し、いじめ研究における新たな視点を提供すること、2、アメリカ、イギリス、韓国の3カ国を比較対象国として選定し、情報先進国のネットいじめの現状について分析し、日本との相違点を明らかにすることであった。 当該年度は本研究の最終年次に該当し、研究の総括を行っている。まず1、ネットいじめの発生頻度を従属変数として捉えた場合、学力が下位から上位へ「上昇」した子どもに多くみられる現象であることが明らかとなった。また、ネットいじめには被害者へ直接誹謗中傷をするいじめと、2ちゃんねる等の掲示板サイトに個人の誹謗中傷をおこなう間接型のいじめの2種類が存在するが、学年が上昇するとともに、間接型のネットいじめが増加することが明らかとなった。こうした背景に子どもたちが自分と同質の人間関係を保持する傾向がみられるが、ひとたび自分と同等と考えていた友人がその集団から離れる場合に、ネットいじめの刃が向けられやすいことが考えられる。 2、アメリカやイギリスにもcyber-bullyingと呼ばれるネットいじめについての文献や調査結果が見られるが、それは人種や階級にもとづいたいじめであることが多く、同質性の高い友人同士に発生することは少ない。また、韓国のネットいじめは自分と直接つながりのない人に対して向けられることが多い。したがって、同質性の高い、周りから見たら「友人同士」だと考えられている人からネットいじめの刃を向けられる日本とは、相当質の異なったいじめであることも明らかとなった。
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Research Products
(7 results)