2009 Fiscal Year Annual Research Report
自分の成長と家族関係を省察する小中一貫の家庭科授業開発
Project/Area Number |
21530918
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
堀内 かおる Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (00252841)
|
Keywords | 家族 / 絵本 / 父親像 / 家庭科 |
Research Abstract |
家族や家庭生活がテーマの国内外の絵本およびDVD合計125冊を購入し、内容の分析を行った。特に、父親を描いている絵本に着目し、絵本に描かれた父親像について考察した。分析結果は、日本家庭科教育学会2009年度例会において、口頭発表した。絵本に描かれた父親像として、「日常的な父親の不在・働く父親」「子煩悩な父親」「尊敬すべき父親」「仲間・友人としての父親」「主夫としての父親」「男性としての父親」の6類型を見出すことができた。これらの父親像が単独または複数の要素として絵本に描かれていた。また、父子関係の直接的かかわりの描写に現れる子どもは、男児であり、男児にとってのロールモデルとしての父親像となっていた。「尊敬すべき父親」像には、ジェンダーのステレオタイプが認められ、力強くて家族を守る<一家の大黒柱>としての父親の姿が描かれていた。その一方で、「日常的な父親の不在」の理由として、「遠くへ仕事に行っている」「旅に出ている」というテーマがみられ、やりたいこと・やらなければならないことに打ち込むという理由に基づく家庭における父親の不在が受容され、子どもは父親の帰りを待ち望み、家庭で子どもと父親が触れ合えることが特別の時間として描かれていた。<男性>としての父親をとらえる視点として、男児にとっての大人の男性のロールモデルとしての描写と、女児にとっての観察対象となる他者としての描写がみられた。後者では、父親の恋人と女児自身との交流を軸として、父親とその恋人との関係が冷静にとらえられていた。今年度の研究のまとめとして、収集した絵本の中から特に100冊を選び、家庭科教員の保育や家族に関する授業での教材としての選定に資するための冊子『絵本に描かれた子どもと家族~自分自身・親密な他者とのかかわりを描いた絵本100冊の紹介』を作成し、家庭科教員や家庭科教育研究者に配布した。
|