2009 Fiscal Year Annual Research Report
入院児への効果的な教育的介入モデル構築に関する協働的実践研究
Project/Area Number |
21531018
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
谷口 明子 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 教授 (80409391)
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Keywords | 特別支援教育 / 病弱教育 / 疾患・病気療養 / 質的研究法 / 実践上の困難 / 事例検討会 |
Research Abstract |
本研究の最終目的である病弱教育における入院児への効果的な教育的介入モデル構築へ向けて、21年度は3つの研究活動を行った。第1は、病弱教育実践上の困難を明らかにすることを目的とした、教師対象の自由記述質問紙調査及び半構造化面接調査である。自由記述からは、ターミナル期や極端な学習意欲の低下等入院という特殊な環境下ならではの特別なニーズへの対応と、復学時等の他機関や家庭との連携を二本柱とした実践上の困難を、教師たちが感じていることが明らかになった。半構造化面接に関しては2名の教師から語りデータの収集を終え、現在も継続中である。第2に、病弱教育における「心理的安定」概念の問い直しを行った。病弱教育担当教師との合同研究会を定期的に開催する中で、「心理的安定」概念をKJ法によって整理した結果、「感情のコントロール」「周囲とのコミュニケーション」等の「社会的スキル」、「声が大きい」「食欲がある」等「生理的側面」、等のほかに「好きなことがある」「夢がある」等の将来的展望を含めた「希望」をもっていることが病弱児の「心理的安定」において重要な位置づけをもつことが示された。第3は、病弱教育における効果的な教育的介入に関する具体的情報収集である。院内学級の校内研指導や21年8月に病弱教育担当教師30名を集めて行った「病弱教育実践事例検討会」において、具体的事例に基づき効果的介入に関する幅広い情報を収集した。上記の研究はいずれも従来研究としてまとめられてこなかったテーマであり、研究成果は、平成22年度9月の学会および関連学会誌への投稿論文として準備中である。22年度以降は、質的研究のまとめに加え、その結果をふまえた量的調査により病弱教育実践上の困難及び「心理的安定」について更なる検討を行う。
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[Journal Article]2009
Author(s)
箕浦康子
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Journal Title
フィールドワークの技法と実際II分析解釈編「第9章 膨大な記述の整理と分析ツールとしてのPCソフト-院内学級における教育的援助研究を例に」(ミネルヴァ書房)
Pages: 144-158
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