2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540006
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
天羽 雅昭 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60201901)
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Keywords | 無理数 / 超越数 / 代数的独立性 / 正規性 / パデ近似 |
Research Abstract |
昨年度の研究を引き継ぎ、関数方程式の鎖を満たすマーラー型関数の数論的性質についての研究をVaananen氏(オウル大学、海外研究協力者)とともに行った。昨年度までの研究により、関数が有限の無理数度を持つための判定条件として、適用範囲の広いものが得られていたが、今回の研究ではこれを応用して、有限な無理数度を持つ幾つかの関数について、それらによって生成される非自明な単項式すべてが有限な無理数度を持つための一般性のある判定条件を定式化した。これにより、無限積で表される関数の特殊値(ただし、現状では整数分の1での値)が代数的独立になる例を構成することが容易になり、実際、多くの興味深い例が得られた。また、無限積関数が有理関数になるための条件についても踏み込んだ研究を行い、無限積の項が有限の項を除いてすべて多項式になる場合に、それが有理関数になるための必要十分条件を確立した。これらの研究成果については、Vaananen氏と共著論文を準備中である。 さらに、今後の研究に向けて、整数分の1での値だけではなく、より一般な特殊値の代数的独立性を調べるための方法についての検討を始めた。消去法を用いるネステレンコ氏の方法が有望と考えられるが、現時点では、関数方程式が単独ではなく鎖であることから生じる困難が確認されるに留まっている。 研究代表者は、当該研究費補助金によりフィンランドへの渡航(2010年8月26日~9月12日)を行った。この渡航は、上記の研究成果を得るに当たって重要な役割を果たした。
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