2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹田 雄一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (30264584)
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Keywords | 代数的K理論 / アラケロフ幾何学 / レギュレーター写像 / チャウ群 |
Research Abstract |
筆者は,アラケロフ幾何学における計量つきベクトル束の算術的チャーン指標の理論を高次化することを目標に研究を行っている.これは,数論的多様体のレギュレーター写像の,アラケロフ幾何学における類似を追究することに相当する.前年度までに筆者は、iterateddoubleとよばれる既約でない代数多様体(球面の代数幾何における類似物)上の,計量つきベクトル束に関する算術的チャーン指標の理論を完成させて,それを用いて高次算術的K群から高次算術的チャウ群への写像(以下高次算術的チャーン指標と呼ぶ)を構成することに成功した. 本年度は,高次算術的チャーン指標と積構造との関係を研究した.算術的リーマン・ロッホの定理の高次化を定式化して証明することは,アラケロフ幾侮学において非常に重要な問題であるが,この積構造を研究することは,その問題の解決に向けた必要不可欠な第一歩である.本年度の研究において筆者は,計量つきベクトル束のテンサー積により決まる,複体の間の写像やホモトピーを明示的に書き下した.そしてそれらの写像やホモトピーのボット・チャーン形式を考察することにより,前年度に筆者が定義した高次算術的チャーン指標が,積構造を保つことを証明した. 前年度までの成果に本年度得られた積構造に関する結果を合わせて,高次算術的チャーン指標を構成してその性質を調べるという,本研究の当初の目的を達成した.そしてこの研究成果を論文にまとめた.この論文は非常に複雑で長大なものなので,本年度全体を通じて,論文の作成やその証明の推敲に時間を費やした.
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