2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540033
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉原 久夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60114807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 浩雄 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30211395)
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Keywords | ガロワ埋め込み / ガロワ群 / K3曲面 / ガロワ被覆 / 射影 |
Research Abstract |
K3曲面の研究の歴史はかなり古く多くの成果がある。当該研究は、K3曲面をガロワ埋め込みの視点から研究し、新たな性質を見いだそうという試みである。このガロワ埋め込みの研究は、ガロワ群が巡回群のとき完成していたが、それに引き続き、アーベル群のとき研究した。実は巡回群では4次と6次の群しか現れなくて、曲面の構造はそれぞれ4次の超曲面と6次の(2,3)完全交叉の曲面であることが判明していた。これを一般化して、アーベル群にすると、新たに(222)型のアーベル群が現れ、しかもそれ以外にはないことも得られた。この曲面は同様に(222)型の完全交叉曲面である。以上により、すべて完全交叉型の曲面であることが判明した。しかもすべての場合に定義方程式まで決定できた。このことにより、K3曲面を扱い易くなり、種々の性質も見やすくなったと思われる。例えば、ガロワ直線の配置の問題などにも効力を発揮できる。更に、いつK3曲面がガロワ埋め込みをもつかという問題では、一般的のときは持たないだろうと予想されていたが、その通りピカール数が1のときはガロウ埋め込みを持たないことも分かった。これらを踏まえて、群が非可換のときの研究もスタートした。まだ、わずかしか得られていないが、注目すべき成果として群が二面体群のとき、K3曲面はある有理曲面の最小ガロワ閉包からえられるだろうということがある。これは6次とか8次のとき証明が宗成しているが、一般的には今後の課題である。
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