2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540069
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久我 健一 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30186374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 尚志 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40125901)
杉山 健一 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90206441)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 低次元多様体 / 4次元多様体 / リッチ流 |
Research Abstract |
3次元多様体で強力な手法であるリッチ流方程式を4次元多様体に利用した結果として、ハミルトンによる、正のイソトロピックな曲率をもつ4次元多様体の分類が、どの程度曲率の条件が弱められるかを調べた。特にこの結果に関するチェン等による厳密な証明を拡張する可能性を検討した。ここで本質的な問題として、曲率の制限による、4次元での特異点の生成の様子が捉えにくい問題があった。どのような特異点が生成されるか、また特異点を許した状況の研究が必然となった。この観点から非特異正規Ricci流の存在の仮定のもとに得られている結果、とくに、BauerとFurutaによる安定コホモトピーSeiberg-Witten不変量を用いて、Gromovのsimplicial volumeと、Perelman不変量、およびGromov-Hitchin-Thorpe型の不等式などの結果、を或る程度特異なRicci流の場合に拡張するために、どのような特異点が発生するかを調べた。いくつかの曲面ファイブレーションをもつ4次元多様体に具体的な初期計量を与えて、リッチ流がどのように特異となっていくかを、観察した。計量を変えると不安定に変化することがヒューリスティックには予想された。厳密な証明を与える形での結果を得るには至っていない。また系統的な分類の見通しはまだ得られていない。 同時に、4次元に限定せず、一般次元でのBrendleとShoenによる、Ricci流を用いた球面定理の拡張の可能性を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4次元でのリッチ流の特異点生成の様子を具体例で考察したが、多くの場合、定性的な傾向の理解だけで、厳密な証明を与える形での結果が得られていない。従って、特異点の系統的分類の見通しには至っていない。数値実験も視野に入れているが、現時点では簡単な偏微分方程式に関する古典的方法を調べている段階で、まだRicci流方程式のような複雑な非線形方程式に利用するまでになっていない。初期計量に制限を与える場合、ピンチ定理のような条件以上の適切な条件がまだ見つかっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
4次元での特異点の生成状況は現時点で見通しが立ちにくいため、簡単な偏微分方程式に用いられる数値解析をRicci流方程式を目標にして、その利用可能性を調べていく。また、Ricci流方程式そのものでなく、それを評価するような方程式、とくに常微分方程式に関しての利用可能性を調べる。同時に4次元に限定しない形でリッチ流を用いた球面定理の現状、とくにBrendleとShoenによる球面定理の証明、を調べ、リッチ流で不変な量の拡張の可能性をしらべ、またピンチ条件のような初期計量に関する条件として適切な一般化、精密化の方向を模索していく。
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