2010 Fiscal Year Annual Research Report
一般化2階微分作用素のスペクトル理論再論とその確率論への応用
Project/Area Number |
21540109
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笠原 勇二 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (60108975)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁 松 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (60324399)
|
Keywords | 1次元拡散過程 / 推移確率 / スペクトル関数 |
Research Abstract |
1次元の2階微分作用素は、弦の振動の記述をはじめ、1次元拡散過程の記述など多くの場面で現れる。この作用素に関するスペクトル理論はWeyl-Stone-Titchmarsh-Kodairaの展開定理が古典的であるが、ここでは差分作用素も含むように一般化された2階微分作用素を考える。この一般化は逆問題を考える上で本質的であることが知られていて、特に左端が反射壁であるとき、作用素とスペクトル関数の間の完全な1対1対応がKreinによって与えられている。これをKrein対応という。この対応は最近、小谷真一氏により大きく発展し、左端が(Weylの分類で)極限円型の境界の場合にまで拡張された。 本研究ではこの小谷氏によるKreinの対応を利用し、スペクトル関数の漸近オーダーを求める問題に応用し、またそれを拡散過程の問題に応用することを目標としていた。 昨年度はtransientな1次元拡散過程について推移確率の漸近挙動をspeed測度の言葉で記述することに成功したが、本年度はpositive recurrentな場合について同様な成果を得た。すなわち、推移確率密度は時間無限大のとき定数に収束するが、そのオーダーはspeed速度の遠方での減少オーダーと完全な対応関係がある。成果は論文としてまとめている段階である。また、平行して、positive recirrentな1次元拡散過程の最大値の漸近挙動についても結果を得た。これについては、可能な極限分布はiid確率変数列の最大値の場合と同じであることは古典的な結果であるが、本研究では拡散過程の場合にその牽引域を具体的に述べることが出来た。これについての成果は論文を投稿中である。
|
Research Products
(4 results)