2009 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線偏光度検出器PHENEXを用いたカニ星雲の偏光観測
Project/Area Number |
21540235
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
郡司 修一 Yamagata University, 理学部, 教授 (70241685)
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Keywords | カニ星雲 / 偏光 / 気球実験 / PHENEX偏光計 |
Research Abstract |
X線天文学はエネルギー、時間、イメージの3つの情報から天体の様々な物理を明らかにしてきた。しかしながらX線には偏光というもう一つ重要な情報が存在する。しかし精度の高い偏光度検出器の開発が困難であることから、ほとんど偏光の観測はわれなかった。その状況を打破するために、我々はPHENEX検出器という硬X線偏光度検出器の開発を行い、この検出器で実際の天体の偏光観測を行うことを目的として研究を行ってきた。2009年には有効面積を2倍に増やした検出器を製作し、6月18日に北海道大樹町から気球に搭載して検出器を打ち上げ、カニ星雲の偏光観測を目指して実験を行った。カニ星雲は性質がよく知られている天体であるが、中心付近の磁場構造がどの様になっているのか明確に分かっていない。我々が目標としていたのは、その中心付近の磁場の向きを決定するという事である。 我々が製作した検出器は上空で動作し、2006年度に製作した検出器よりもS/N比が2倍程度向上している事が確認された。しかしながら、上空での風の状態がよくなかったために、当初予定していた観測時間(5時間)に比べ、その半分(2時間半)しか観測が行えなかった。さらに方向制御のトラブルから、検出器が実際にカニ星雲を見ていた時間はさらに減ってしまった。しかし、我々は数時間のバックグランド観測を行うことができたために、このデータを解析し、バックグランドの偏光に関して明らかにした。この結果は岸本祐二氏が博士論文としてまとめている。
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Research Products
(4 results)