2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540440
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
福間 浩司 同志社大学, 理工学部, 准教授 (80315291)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 博志 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80311869)
林田 明 同志社大学, 理工学部, 教授 (30164974)
|
Keywords | 地球磁場強度 / 海洋地殻 / テリエ法 / 古地磁気学 / 岩石磁気学 |
Research Abstract |
地球磁場強度の変動を明らかにすることは,地球磁場による太陽風や宇宙線に対するシールド効果を通じて気候や生態系に及ぼす影響を解明するために重要である.海洋地殻は過去約1億年間に海嶺でほぼ連続的に噴出した玄武岩類によって形成され,冷却した時の地球磁場の強度を記録している.海嶺からの距離が異なる地点で得られた枕状溶岩を選択して採取することを昨年度まで行ってきたが,本年度は比較すべき対象とするため陸上に分布し同様の化学組成をもちかつ噴出時の地球磁場強度が既知である最近噴出した玄武岩溶岩について測定を行った.陸上の玄武岩溶岩の試料採取のために伊豆大島などに赴き,一枚の溶岩について鉛直方向に採取することにより,上面のクリンカー部から塊状部を経て最下部のクリンカー部まで全ての岩相をカバーするように試料を採取した. 採取した溶岩試料は残留磁化測定のため実験室で1インチの円筒状に加工し,円筒試料近傍の試料を磁気ヒステリシス並びにキュリー温度の測定のために用いた.磁気ヒステリシス測定は試料振動型磁力計を用いて行い,キュリー温度は熱磁気天秤を用いてAr雰囲気中で700℃まで加熱して求めた. 地球磁場強度を求めるためテリエ法を用いた.体積の上で溶岩の大半を占めテリエ法に用いられることが多い塊状部は加熱時に不安定な振る舞いを示し,地球磁場強度を求めることができなかった.一方,これまでテリエ法では見かけ上地球磁場強度を得られることが多かったクリンカーの直上・直下の試料は実際の地球磁場強度より高い値を示すことがわかった.溶岩の岩相のうち実際の地球磁場強度を記録していたのは上部および下部のクリンカー部の試料のみであり,特に下部のクリンカー試料からは広い温度範囲から信頼できるテリエ法の結果を得た。 磁気ヒステリシスとキュリー温度の測定により,クリンカー部と他の岩相の違いは磁性鉱物の相と粒径にあることがわかったクリンカー部では500℃以上のキュリー温度をもつ一相のみであり,その粒子サイズは単磁区粒子の範囲に入る.このことから,クリンカー部から得られた過去の地球磁場強度は信頼できることがわかった.
|