2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540490
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
高橋 啓一 Lake Biwa Museum, 研究部, 上席総括学芸員 (50139309)
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Keywords | 旧石器 / 環境 / ヒト / 動物相 / 花粉 / 火山灰層 |
Research Abstract |
21年度は,研究の進捗を図るための調査地の選定作業を行った.研究代表者および連携研究者が集まって検討した結果,静岡県の三島,沼津周辺の旧石器遺跡群が候補にあがったことから,9月に全員で発掘された遺物やフィールドの観察をおこなった.その結果,多くの重要な旧石器遺物を確認することはでき,この地域が重要な場所であることは確認できたが,環境を解析するために花粉分析や層準の対比を行うための鍵となる火山灰などの検討においては課題があることが判明した.調査地に関しては,引き続き三島,沼津周辺に狙いを定めて探索を行う. 一方,この研究を始めるためのアプローチとなった研究については,代表者の高橋と連携研究者の出穂・佐藤などの編集により化石研究会会誌特別号4号として発行することができたほか,山岡により「『台形様石器』の欠損資料-日本列島の後期旧石器時代前半期における現代人的行動の一事例」の報告が旧石器研究に投稿された.また,出穂はやはりこの研究のアプローチとなった研究成果を中心にして,ハノイで開催されたインド太平洋先史学会議学会でセッションを行った. 高橋は,国内の更新世末の動物化石の再検討行うために,静岡,鹿児島,沖縄などを訪問し,シカ類やワニ類の化石の観察を行った.この結果,沖縄から報告されていたシカ類の一種が,従来報告されていた種とは異なる可能性がでてきた.このことは,日本列島にヒトが出現した時代の動物相の形成過程と起源にとって重要な意味を持っていると考えられることから,本年6月に開催される日本古生物学会にて,その概要を報告する予定である.
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