2009 Fiscal Year Annual Research Report
生成分子の空間分布による分解活性亜酸化窒素の直接同定
Project/Area Number |
21550004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松島 龍夫 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 研究員 (30002116)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 窒素の放出 / 窒素酸化物処理 / パラジウム / ステップ表面 / 脱離の角度分布 / 角度分解昇温脱離法 / 吸着分子配向 |
Research Abstract |
パラジウムのステップ表面Pd(112)=[(s)3(111)x(001)]上で亜酸化窒素(N-N-0)の熱分解を行い、放出される窒素(N_2)の空間分布から分解直前の分子構造を、昇温脱離、定常分解、理論計算により検討した。 1.表面温度約50Kで吸着、0.5K/sの昇温速度で加熱のときに放出される窒素及び亜酸化窒素の放出量を表面垂直方向から計る角度(脱離角度)と結晶方位角を変数として測定、3次元空間分布を構築した。清浄面(1000Kまで前加熱)と、酸素を含む表面(前処理温度を850Kに固定)で窒素の空間分布が異なることを確認した。実験では放出される化学種をスリットを用いて角度分解し質量分析した。結晶方位は低速電子回折法とCO酸化で放出されるCO_2の空間分布から決めた。 [清浄面];小さいN_2O吸着量では昇温中にすべて分解しN_2を放出し70K、80Kと120Kにピークを示す。脱離角度走査面をステップ上下方向からずらすとシグナルは減少、上下方向が最大である。70Kピークは(111)テラス側に55°、80Kピークはステップ(001)側の40°、120Kピークはステップ側の13°に指向した。それぞれ指向角は異なるが、結晶軸方位依存は共通で、分子軸はステップ上下方向に沿う面内にあると推定した。 [酸素修飾面];残存酸素量はまだ評価できていない。この表面では低温域の2つのN_2ピークは現れない。ピークは110-120K付近に1つのみ。低い被覆率ではステップ側に7°、飽和近傍ではステップ側に25°垂直からズレて指向する。方位角依存、吸着構造の分光法検討が今後必要である。 2.定常反応条件下では測定が出来なかった。次年度は複数の結晶で同時測定を試みる。 3.従来の理論計算では活性な表面上のN_2Oの扱いは難しいと判明、分散力の取り入れを検討する。
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