2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック分子導入による光機能性タンパク質の開発と機能メカニズムの解明
Project/Area Number |
21550049
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲田 妙子 Kitasato University, 理学部, 講師 (60286375)
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Keywords | 光制御 / ニワトリ卵白リゾチーム / ジアリールエテン |
Research Abstract |
本研究は、フォトクロミズムと酵素タンパク質の特質を活かした新規光機能性材料の開発を目指し、ターゲットとして生体内やエネルギー利用等において重要な反応のひとつである電子移動反応をとりあげ、反応の可逆的制御を目的としている。 平成21年度は、モデルタンパク質として立体構造と酵素反応のメカニズムが解明されている酵素タンパク質のひとつであるニワトリ卵白リゾチーム(EC.3.2.1.17)を用いた。酵素タンパク質に導入する光応答基には、代表的なフォトクロミック分子の一つであるジアリールエテン誘導体を、電子受容体部位には蛍光性カチオン色素を用いた。まず、タンパク質の立体構造から光応答基の分子設計および導入位置を検討し、電子供与体部位を有するジアリールエテン誘導体を合成した。そして、タンパク質の特定のアミノ酸残基に位置選択的に光応答基を導入した。得られた修飾タンパク質の精製は、各種分離原理が異なるクロマトグラフィーを用い、光応答基の導入位置は質量分析および等電点電気泳動により決定した。つぎに、合成した光応答性タンパク質について,フォトクロミズムに伴う立体構造、活性、蛍光消光電子移動反応の速度定数、ラジカルイオン対内の逆電子移動反応の速度定数、電子移動反応によって生成したフリーラジカルおよび三重項の生成収量の変化を調べた。その結果、フォトクロミズムに応じて、光応答基導入位置近傍のタンパク質の立体構造および疎水的相互作用の変化が誘起され、電子移動反応の効率を変調できることがわかった。
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